2.イタリア年金者組合(SPI)の組織構造と政策
(1) 組織構造
SPIは、21の州構造と121の広域行政圏(ヴァッレ・ダオースタ自治県とアルト・アーディジュ、トゥレントの両自治県)に構築されて、地方労働組合(C、d、L、T、)地区労働評議会(C、d、L、)と同居しているのが一般的である。
最近の調査研究では、約6000ヶ所に拡大しているが、年金者組合のみでの“窓口”としては、約9千を越えると推定されている。
班組織(レーガ)
班は、SPI・CGILの基礎構造であり、大会要件である。しかし、地区労働評議会のような硬直した組織構造ではなく、特に地域の政治的・社会的な制度要請に従って、市町村やそれにまたがる郡、管轄区域の班として結びついている。
活動している地域では、活動の基準であり、下部の斑では、駐在所、連絡所、たまり場などと称している。班は次のような活動をしている。
・ 組合員の活動の参加を推進する
・ 積極的な市民や新しい諸権利の推進をはかる
・ 組合員証の更新を推進し、管理する
・ 地域レベルで代表制や社会的管理の統一組織体を確立するために活動する
・ 組合教育、組合の情報手段の普及や認識を推進する
・ CGILの組合サービスシステム、後見組織である社保協(INCA)や税援護許可センター(Caaf)後見活動を組織する
・ 管轄する地域で地方諸制度やサービス企業に対して交渉や対決する権利の当事者である
・ 班は、完全に自主的で自らの長所を生かし、地域構造(県、または広域圏)と一致して、州の規制センターによって採用された決定を基礎に責任者としての班の財産を活用する。
組織体
すべての構造の幹部会は、(全国、州、県、地区、班)は書記局長、及び書記局を選出する。この最後の項では、規約の基本に、つまり、他の産別の現役労働者も年金者組合員になれる。反差別規定のほかに年金者組合の構成員も最低50%以上にしなければならない。
幹部の刷新を保障し、また彼らの経験を利用するために、いかなるレベルであろうが、書記局長や書記局メンバーの執行任務は、2回以上の委任や、いづれにしても8年を超えてはならない
SPIの大会は、CGILの大会日程に合わせて,通常、4年間の任務が続き、2010年が大会の開催年次であった。しかし、SPIの全国規約は、指導者グループの交替を奨励し、全体のバランスを守るために、通常、少なくとも大会で選出されるメンバーの1/4が、次の大会で交替しなければならないし、選出の40%が両性の1つに属することを定めている。同様に、最低40%条項がすべての構造にも適用される。
その場合に、幹部の任務配置についてもまずCGIL自らが任務を決定し、順次、SPIなどの産別の下部構造についてもその任務が決定されるので、AUSERの幹部交代は後回しとなる。
イタリアの労働組合には、日本のように青年部、女性部(婦人部)という組織はないが、唯一の例外として、SPI女子調整(委員会)が確立されている。女子調整(委員会)は、女子への経済的、社会的な政策の要求内容、また執行任務の立候補基準の確定偏見を抱かせる組織条件を克服するための提案やイニシャティブの権利をもっている。
現時点では、SPI規約は修正されていないが、2010年以降、部局の中にフェミニズムやジェンダー政策を包摂した部局を新設した。
全国的構造
2010年の第18回の全国大会で選出された全国幹部会は、163名のメンバー(女80名、男83名)で、一方、全国監査役会は、5名の正規メンバーと3名の代理者の出席とする。
全国SPIは、査閲任務を持つ全国の特別委員を通じて、SPI構造のすべてについての管理運営権を行使し、全国幹部会が定めた計画をもとに、組織の透明性や正確な会計を管理をする。
検証委員会は、SPI内部の司法機関であり、あらゆる組織の手続きや行為の正常さを評価するために請願について審査する。検証委員会のメンバーは5名の正規委員と5名の代理者が全国幹部会の会議に参加する。
州議会は、規約で定められた州構造と全国SPIとの調整機関である。決定する権限はないが、SPIの分権化と連合主義の目標に対応するものである。それぞれの個々の州労働組合ごとに、1名の代表者、および自治県、全国書記局、全国女子調整(委員会)の責任者によって構成される。州の監査役会の機能規定は、全国幹部会によって承認される。
全国SPIの女子調整(委員会)は、少なくとも大会と大会との間に一度は開催され、SPIの女子全国会議で選出される。委員会は選出後の最初の会議に調整者を選出する。
全国書記局は、幹部会から選出され、現在では9名のメンバー(女子4名、男子5名)によって構成されている。2011年現在、最高年齢が70歳であり、平均年齢は、ほぼ60歳と若く活動的である。規約規則は、執行組織がそれぞれのレベルで、両性の一方が40%以上の他に、少なくとも年金者が半数以上で構成されなければならない。その内部で書記局長の提案により全国部局の責任者が決定される。
全国構造は、書記局、組織、社会医療政策、全体の政策、情報・コミュニケーション、社会保障と労働市場、しあわせ政策、経済・税・ヨーロッパプロジェクト、調査・研究、組合教育、国際政策、回想プロジェクト、事務総局、管理局の合計14部門である。
組織局については、大半を網羅したので、他の部局については別途に説明する。
事務総局
事務総局は、政策や組織的な決定のために、(全国SPIの活動の管理のための任務を持つ。全国的な会議の計画を調整し、他の組合組織、諸団体、各省庁、諸法人、各種の機関との安定性の中で書記局を補佐する。
事務総局は、書記局長や書記局が規約にかなうさまざまな機関(監査役会、検証委員会、幹部会、州議会、全国女子調整の責任者)を管理する。全国的サービスの責任者を活用して地域に関する全国イニシャティブに配慮する。スタッフや組織モデルに関係する問題のために組織局員と協力し、それを管理する。
※中央全国機構
全国SPIには、54人が職員と協力者として働いている(うち女子27名、男子27名)。機構は、18人の技能労働者と36人の政策部局員であり、職員は42人、協力員が12人である。協力員の中で年金者が男子11人、女子4人である。
その他の補足
組織部局の中で、情報発展センター(Cesi・SPI)を作り、SPIの組合員証更新に関する全国センターと資料管理との情報システムの維持と発展に従事している。
教育は、だいぶ以前から、スタッフ全員に情報手段の深化と英語を目的としたコースが実現されている。2000年からは、補足的社会保障として、コーペルラヴォーロと名付けられた基金に加入した。医療保険として、3大労組も加入している医療証書も掛けている。健康予防のために、専門内科医師が週に3回、職員・協力員、家族を往診しており、予防接種はもちろん救急時にも対応できるようにしている。
[注] レーガ(LEGA)とは、同盟、連盟、協会、組合のことである。フランス訳から英語のリーグとなった。言わばアッソシエーションであり、連合、連盟も同意語で自らの個を持ちながらも総合・参加することである。1867年、カール・マルクスが国際労働者協会(インターナショナル)を設立するが1872年、イタリアでも同協会が設立され、同時期に数多くの抵抗同盟(レーガ)が誕生する。1886年10月イタリア全国協会、組合・相互連盟が誕生以来「レーガ」と呼ばれるようになるが、源流は同根である。イタリア年金者組合は、その末端の組織を「レーガ」と定義をしたが、仕事や行動も共にするグループのこととして私の独断で「班」と訳することにした。
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