(12) ヨーロッパのWelfareの新しいモデルに向けて
1989年以来、SPIは、ヨーロッパ研究センター(CER)と協力して、イタリアの高齢者についての一連の研究と学習を推進し、出資もし、方向付けをしてきた。この活動領域は、労働組合の課題の中では付帯的なものでなく、むしろ労働組合の起源の根元的なものとして総合的な戦略の活動領域であり、20世紀を通じてイタリアの政党や労働組合の中で周期的に討論され、W経済的な民主主義Wのモデルの一部として構成されつづけてきた。
その研究を通じて、労働組合は、労働界やそうではない世界の利益に、政治的分析の分野を広げるという、その観点での認識を得る目標に着手している。初めて国家の改革プロジェクトの中で、この方向を真面目に取り入れたのはジョリッティ(1842〜1928年)の時代であった。組合組織も積極的に参加し、資料の統計的組み立てを通じて、改良主義の展望を深く刷新させたモンテマルティーニによって指導をされた「労働事務所」の観点が重要であった。
ファシズムは、協調組合的なシステムの内部で労働組合的な自主性を歪めたとはいえ、このもくろみのすべてを破壊することはできなかった。政府中央統計局(ISTAT)や国立農業研究所など、亡命中や獄中の反ファシスト政党の政策起草にも資料を提供した主要な金融機関の研究所のように、統計研究の新しい研究が続いたことがそれを証明している。
ファシズムの崩壊のあと、労働組合の研究は実質的な自主性を見出した。CGILは、ブルーノ・トゥレンティンによって、この任務をヴィットーリア・フォアに委任し、ヨーロッパ研究センターとなる。
最初の10年間は、組合が統計資料の解釈の責任者となり、大きな役割を担う。1990年代に,SPIは研究の自主的な方針を確立し、高齢者の視点で研究や学習の積み上げを行う。特に、貧困分野の改革にどう結び付けていくかが重要なテーマであった。特に、研究は三つの方面で方針化されていく。医療システムの改革、年金システムの改革とイタリアにおける今日の高齢者の特徴、あこがれと利益であった。
イタリアにおける高齢者
Werfareを再定義するならば、国家予算の削減によって一層の貧困の格差が拡大していることである。あらゆる人々にとって困難な生活、しかも南部で生活している高齢者にとっては悲惨である。
● 一方では貧困地帯が広がっている。
● 他方では、青年の失業者が増大している。事実、失業が工業化した国々の経済の構造的贈答品となっている。
● 勤労所得を手にすることの難しさ、高齢者を持つ家族は、一層W爺ちゃんWの年金から生じた収入によって支えられることになる。
CER・SPI報告によれば、次のとおり、
● 高齢者(少なくとも65歳以上)の家庭の20%は、年に100万リラ以下で生活している
● 36%は、1000〜2000万リラの間の所得
● 20%だけが、2000〜3000万リラの間である。
しかし、特に南部では重大であり、高齢者を抱える家族の96%は、月に2000万リラで生活している。事実、1人の65歳以上の高齢者を抱える三人家族では、5年間で勤労所得は、37%から23%に下がり、一方、年金所得のほうが、42%から58%へと上昇した。それは予算削減によって、家族の生活条件がより厳しくなったということである。このためにイタリアのW爺ちゃんWの年金は、しばしば食料や医療の二つの項目が一層重圧を帯びて、さらにW失業した孫WやWプレカリアートWやW不安定雇用者W(これらの分離とW雇用Wとの間が一層あいまいになり)を養うのにあてがわれている。