イタリア年金者組合最初の頁

(4)改名―イタリア年金者組合(SPI)と医療改革
 1975年は、とりわけスカーラ・モービレの改訂の年であった。それまでは年金が単純に生計費に縛り付けられていたが、初めて賃金の動向と結合された。翌年からFIPもキリスト教民主党(DC)とイタリア共産党(PCI)と接近過程に関心と注目をもって見つめていた。
 一方、イタリア共産党(PCI)は、1975年の行政当局や、1976年の警察から完全に評価を得たが、赤いテロリズムの攻撃と危険性が増大した。1977年は、イタリア全土を揺るがした青年・労働者を中心とする、いわゆるW過激派運動Wが爆発した。それはさらに赤い旅団によるモーロの誘拐と殺害につながっていき、国家に対する正面衝突となった。それは長くゆっくりと死期を迎えるように運命づけられた、第一次共和体制の終わりであり、また新たな始まりであった。
 CGILは、労働者の末端との乖離が大きくなり、青年層との対話の困難は、2月のローマ大学での有名なルチアーノ・ラーマ書記局長への意義申し立てのエピソードで明らかとなった。
 1977年、モンテカティーニの第10回大会でFIPは、名称を変更しCGILのイタリア年金者組合(SPI)が誕生する。以来、必ずSPI・CGILと名乗るようになる。
SPIは、単に名称を変えたのではなく、国の経済的・社会的な状況や民主的・社会的な層と構成の中での大衆的な深い参加を認識していたからである。70代の前半から後半にかけて、社会保障保険公社(INPS)からINCAへの年金支払いの事務委任によって、一挙に組合員が倍増したのである。それはまた、同業組合的な論理を打破することであり、狭い枠の中の職業的な閉鎖性の克服を余儀なくされた。と同時代的にイタリアで、また世界的なレベルでのW高齢者問題Wが浮上していた。もうこの時期に、イタリアでは、60歳以上の高齢者が、1950年の550万人から、950万人となり、人口の18%を占め、有権者の1/4以上であった。年金者は、1150万人を超え、つまり人口の20%以上であった。
 SPIが10年以上もかけて多くの労力を割いてきた、社会改革の一つが1978年に成熟する。すでに、自治州の制度は存在していたが、憲法第117条に基づく、管轄行政機能を州に分権化するものとなった。憲法制定後、30年かかってようやく実現されることになるために、中央や周辺の機関から機能していた行政機能を移行させることになる。
 都市や農村の地方警察、公的慈善事業、公衆衛生や病院の補助、職人や職業訓練、学童に対する援助、地方公共団体の博物館・美術館や図書館などである。行政機能に関しては、公的慈善事業が、社会福祉、サービスの整備と供給、無料、または有料か、給付、または現金か、現物、または個人のか、所定の部門に属するためかを定めることであった。保健衛生と病院の扶助は、住民の身体的・精神的な慈善推進、維持、回復に関する、予防から介護やリハビリまでである。
 政府から委任されたすべての問題で、州は組織と支出の法的規制を公布できるようになった。法は、州を機能させるほかに、イタリア共和国憲法の条文(第115条から第127条まで)で定められたように、市町村に社会政策の政府権限をゆだねて、慈善の概念から扶助の概念までに移行するための柱を立てた。
 医療改革は、1948年以来語られてきたプランがようやく実ったのが、全国保健サービス(USN)である(1978年12月23日の法・第833号)。CGILによって、1957年に提出された、最初の医療再組織化提案に社会保護の統一されたシステムが強化された。
・ すべての市民に無料で直接の扶助をもった普遍的原則の採用
・ 予防・治療・リハビリの三要素の統合と地域でも在宅でも全般的・専門的扶助の保
・ 地域でも在宅でも、全般的・専門的扶助の保障

・ 地域の必要性と存在する構造を基礎に、地域的医療助成の計画作成の原則の導入
と個々のサービスの推進、維持、健康回復の実現で市民参加の導入
・ 行政計画上の予想規定、医療助成の三段階の設定、全般的方針をもつ政府や国に付された中央の設定、計画目標についての計画化と検証の機能をもつ州の確立、地域段階でのすべての助成実現のための市町村の確立

これによってよって古い互助機関を清算し、地域を基礎とした地域保健単位(USL)の設立を定めた。この新しい機関は、新しい団体ではなく、むしろ市町村の機能構造を考えなければならなかった。そこにはサービスの調整、保健教育、扶助、治療、リハビリの任務が付与されて、病院、診療所、総合診療所、医療センター、温泉事業が参加することになる。
 もちろん,SPI・CGILの組合運動の全体は、医療システム改革の必要性を感じていたことから満足して歓迎したが、システムの遅さ、鈍さ、不足さについての告発が続いていく。


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